カイトのこと

CAPINシェルターに暮らす白い犬のカイトのことを書きます。

 

カイトは、行政による不要犬の回収サービスを利用する飼い主が、指定の回収場所(つくば市)に連れてきた犬です。

 

私は、ほんの一時期ですが、先輩ボランティアのHさんに誘われて、飼い主に持ち帰りや親への不妊手術を説得していました。

 

回収場所では、いろんな人が「不要」犬猫を連れてきていました。

時間になると回収トラックが到着し、住民が犬猫を次々に運び込みます。

 

飼い主から不要犬として市庁舎の犬猫回収場所に連れてこられたときは、まだ5か月だったカイト。

 

「センターでの処分は、安楽死でなく苦しい窒息死です。何とか飼ってもらえませんか?」

と言うと、カイトの入ったケージをぐいぐい押しつけられ、「そんなに言うならもってけよ、くれてやるよ」と

飼い主に怒鳴られました。

 

可愛いときだけかわいがり、大きくなりかけたら捨てるのか?

 

子犬期を脱し、体の伸びた白い犬の、やさしく心細い表情が胸に刺さりました。

 

こちらがすぐに保護できなかったため、ほかの不要犬猫たちとともに回収トラックに載せられて

笠間の動物指導センターに送られてしまいました。

 

     * * *

 

回収された動物は憐れそのもの。

 

放浪のあげく、毛もぼろぼろになりやせ細った老犬。

倉庫で産まれた子猫たちは、タマネギネットに入れられてぎゅうぎゅう詰め。

持ってきた奥さんは、してやったりと、得意げです。

 

箱に入った、目の開かない猫もいました。

わけもわからぬまま、しあわせです。

 

でも、もう2~3か月になった猫たちは物心もついて、訴えるような観念したような目でこちらを見つめています。

ひとつの中ケージに次々と入れられても、なかでケンカもせずに、凍り付いていました。

まだ小さくて、健康な命たちでした。

 

何ができる?何もできない、無力感しかありませんでした。

今も、助けられなかった子たちの目が、忘れられません。

 

 自分より後に産まれて自分より先に逝ってしまった、幼いものたち。

 

近隣の市役所経由でやってきた子もいました。

つくば市や常総市の職員たちが連れてくるのです。

職員だって、つらい気持ちでしょう。

 

  * * *

 

 

集めてこられた命たちを前に、助けるなら皆助けたい、そんな気持ちになるのです。

回収トラックに載せられた子のうち、1匹を選ぶことはとてもできないのです。

 

あまりの数です。

でも、1匹でも助けることから始めていかねば。

 

全部を助けられないが、関わった動物だけは、何とかしなければ。

あの白い犬は、もしかしたら里親がみつかるかもしれない。

まだ5か月だから。

 

家族会議をし、その結果、Hさんとセンターにお迎えに行ったのは翌日でした。

 

 

    * * *

 

 

しかし、センターに1泊しただけで、パルボに感染してしまったのです。

1週間後に血便が出ました。

1か月の闘病。

生死を彷徨い苦しみましたが、幸い命をとりとめました。

 

カイトはいろんな問題を気づかせてくれた犬です。

私たちはカイトとの出会いで、たくさんの勉強をしました。

 

 

2010年度に茨城県では定時定点回収が廃止となりました。

 

が、住民の意識は果たして変わったでしょうか。

回収車の来る体育館裏でなく、山や川へ捨てる、そんな風習がまだまだ根強く、

多くの犬猫が泣いています。

 

茨城だけではなく、日本中で、この問題はなかなか変わりません。

 

子どもへの教育、避妊去勢の推進、啓発活動、チラシ配布に、実際の保護と里親さがし。

 

これに国、省、自治体、専門職、民間団体をあげて取り組まねば、殺処分はなくならないし、不幸な命は増えるばかりです。

 

 

助けられる人を増やし、捨てる人、増やす人を減らすこと、とにかく人育てがこれからは重要となります。

 

 

 

 

 関連記事(capin cat&dog 2009.8 より)

 

 

http://miaomiaogatti.blogspot.jp/2009/08/blog-post_8861.html

 

http://miaomiaogatti.blogspot.jp/2009_08_01_archive.html

 

    

 

 

 

2011/01/05

センターでのパルボウイルス撲滅のための要望書

 
CAPINより、以下のような要望書を送付しました。

平成23年1月5日
要 望 書

厚生労働大臣 細川律夫 殿
環境大臣 松本龍 殿
茨城県知事 橋本昌 殿

  
CAPIN 動物愛護を考える茨城県民ネットワーク
代表 おかめ

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、当会の代表者である私は、2009年6月10日、茨城県動物指導センターにて、収容犬(推定5ケ月)を里親譲渡目的で引き取りましたが、自宅に連れ帰って数日後に血便と高熱、嘔吐で倒れ、6月15日に病院に運ぶと犬パルボウイルス感染症(以下「パルボ」といいます)に感染していることがわかりました。

この犬は、平成21年6月9日につくば市桜庁舎において定時定点回収に出されたものであり、その時点ではまったく症状はなく、この犬を連れてきた飼い主も犬の健康については特別な訴えをしていなかったことから、センター収容中に感染したと思われます。このことは私自身が回収の場に立ち会って飼い主と話しており、確認しております。

御承知の通り、パルボは、非常に致死率の高い病気です。手当をしなければ100パーセント亡くなりますし、手当をしても半数近くが亡くなるといいます。感染力も非常に強く、北米大陸のオオカミは、飼い犬から感染したパルボのために絶滅に瀕しているとも言われています。

その日から、連日のように、往診を依頼し、点滴と投薬の治療を受けました。

往診を依頼せざるを得なかったのは、犬を病院に連れて行くと他の犬を感染させてしまう可能性が高いと病院から言われたからです。

6月15日から8月5日にかけての医療費は、往診料も含めて合計で9万8040円(詳細は別紙の通り)にのぼります。

茨城県動物指センターでは、以前より、犬の収容場所にパルボイルスが常時蔓延していること、一度この施設に入った犬はほぼ感染してしまうこと、入所当初は元気であった犬も、次第に食欲を失いぐったりとし、血便を出してパルボの症状を呈して亡くなっていくことが多いことを聞いております。

月に一度開催される譲渡会に出すことを予定している子犬についても、譲渡会当日までにパルボ等の感染症のために命を落とすことがあるという現実もあります。
提携ボランティアさんたちが犬の引き出しを行ったらパルボに感染しており、すぐに亡くなってしまった、あるいは高額な医療費をかけて治療せざるを得なかった、という事態が私達のケース以外にも多発していることを聞いており、数人の体験者も存じております。

センターでこうしたウイルスが蔓延する状態が何年も放置されているのは、異常な事態と言わざるを得ないのではないでしょうか。

茨城県では捕獲された野良犬・捨て犬・野良猫、すべて一旦センターに連れていかれ収容されます。譲渡用の犬舎に置かれるのは、センター主催の譲渡会用に選択される奇跡的に幸運な仔犬だけです。ボランティアさんが譲渡のために引き出す子犬や子猫もここには入れてもらえません。大半の犬は、このパルボの蔓延する一般の犬収容棟に入れられるのです。

ここがガス室・焼却室を備えた、殺すための施設であることに変わりはありませんが、だからといって、どうせ死ぬのだから感染症が蔓延していても仕方ない、という話にはならないのではないでしょうか。

ここには、迷子の犬も収容されております。万が一、飼い主が迎えに来たときに、すでに感染してしまっていることもあり得ます。その場合、家に帰って散歩中に、排便を通して地域にパルボを拡散させてしまう、ということも考えられます。そうしますと、行政がセンターでウイルス対策を怠って、県内外にパルボ・ウイルスを始めとした他の菌を撒き散らしているということになり、環境汚染や公衆衛生に関する重大な過失を犯しているということになります。

そこで、私たちは、以下のことを要望致します。
__________________________________

  1. センターの動物収容棟その他、動物保管場所におけるパルボ・ウイルスその他の病原体(ウイルス・細菌・真菌等)の蔓延について、第三者(その分野で専門職にある民間の有識者。なお、その人選にあたっては透明性が必要である。以下同じ)による実態調査を行い、その結果を公表すること。

  2. ウイルス等の感染が明らかになった場合には、速やかな浄化を行い、併せて再発防止対策を講じ、その内容を公表すること。

  3. 定期的に第三者による施設内の立ち入り検査を行い、その結果を公表すること。

  4. 県内の保管場所を複数作ることにより、定期的な病原体、ウイルスの洗浄除去を可能にすること。

  5. 平成21年6月15日~8月27日に、私がセンターから引き出した犬のパルボ治療のために負担した医療費(詳細は別紙の通り)を速やかに支払うこと。

  6. 今後、センターから引き出した犬猫にパルボ等の感染症が発生した場合、治療に要する費用の損害賠償を負担者に対し行うこと。

__________________________________

収容される犬猫のために、一刻も早く、この問題の解決と再発防止策を強く願うものです。なお、この問題は、茨城県の問題ではありますが、このような事態を放置した国にもその責任の一端があるものと考えられます。

つきましては、この要望に対する御回答は、本書面到達後、2週間以内に文書にてお願い致します。


以上



(別紙)

平成21年6月9日、茨城県動物指導センターから引き取りを行った犬のパルボ治療費


6月15日 15880円
 (初診 1680円、採血500円、血算料500円、パルボ抗原検査4000円、
  犬ジステンパー抗原検査5000円、治療費4200円) K動物病院

6月16日 6140円 (診察・治療代・往診代) 同病院
6月17日 8560円 (同上)同病院
6月18日 8560円 (同上)同病院
6月20日 17120円 (同上)同病院
6月21日 8460円 (同上)同病院
6月22日 8940円 (同上)同病院
6月27日 6330円 (診察料 840円、検便500円、薬代4990円)同病院
7月9日 1790 円 (薬代) 同病院
7月10日 10710円 (診察治療代5040円、内用薬5670円) 同病院
8月5日 4500円(再診料500円、パルボ検査4000円)  B動物病院
8月27日1050円(再診料500円、便検査500円+税金)  B動物病院

合計 98,040円

*去勢代、ワクチン代2回分、駆虫代、狂犬病ワクチン代は含まれておりません。

 

 

********* 関連記事(茨城新聞) ***********************************************

 

【県の犬処分、全国最多6年連続 10年度3589頭】

2010年度の本県の犬の処分頭数が都道府県別で全国最多だったことが14日までに、NPO法人「地球生物会議ALIVE」(東京都)による全国動物行政アンケートで分かった。
最多となったのは6年連続。

本県の処分頭数は前年度より519頭減り、3589頭(12・6%減)となったが、他の都道府県も減ったため、今回もワーストの汚名を返上することはできず、依然として飼い主のマナーが問われる結果となった。

県生活衛生課によると、3589頭のうち成犬は2099頭、子犬は1490頭。
鹿行や県西地域からの処分頭数が比較的多いという。
他県に比べて放し飼いをしている家庭も多いため、野良犬化するケースも目立ち、捕獲頭数は2944頭にも及んだ。

県は10年度、安易な放棄を防ぐために、各市町村の決まった場所と日時で実施してきた「定時定点回収」を全廃。
引き取りの窓口になっている県動物指導センター(笠間市)では持ち込む飼い主に対し、「新しい飼い主を探したか」と強く迫ったり、処分までのDVD映像を見せるなどして翻意を促しているが、放棄は665頭に上った。

このほか、飼い主が判明しないまま保護された犬は761頭を数え、同センターは計4370頭を収容した。
このうち、飼い主に返還されたのはわずか153頭で、新たな飼い主が見付かり譲渡されたのは696頭にとどまっている。

県は本年度、同センターでの保管期間を7日間に延ばし、返還や譲渡の機会を増やしたこともあり、昨年12月末までの処分頭数は前年同時期比の13・2%減の2521頭となっている。

ALIVE茨城の堀江尚子さんは「ワーストが続いているのは行政の怠慢そのもの。地域にはそれぞれ特性がある。地域に合ったきめ細やかな対策が必要だ」と指摘。
同課は「最多は大変残念だが、今後も処分数ゼロを目指して頑張りたい」としている。

調査はALIVEが動物行政を所管する都道府県や政令指定市など全自治体に対して実施。
1997年度に始まり、99年度からは毎年行われ、回答率は100%。

全国の合計処分数は前年度比18・9%減の5万3473頭。

ワースト2位は3356頭の沖縄県、3位は2705頭の広島県だった。

 



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