3月30日、コビちゃん南相馬に帰る

このイラストは、ドラメイさんが描いて下さいました。

まるで生き写しで、みんなでたくさん泣きました。

CAPINシェルターで1年2ヶ月を過ごし、エイズを発症して亡くなったコビちゃんが、

3月30日、南相馬の家に帰りました。

りりしかったコビちゃん。

シェルターボランティアのみんなにとって、忘れがたい猫さんです。

1年前のコビちゃんの写真です。

口内炎がひどかったけれど、まだまだ元気でやんちゃでした。

2012年夏に、口内炎を治すために抜歯で入院した東京の牛込動物病院。

ここの通院でしばらくお世話になった、神楽坂の敬子さんといっしょに、

コビちゃんのお骨とドラメイさんの描いて下さったイラストを持って

南相馬の飼い主さんのもとにお届けしました。

飼い主さんは、コビちゃんの13年暮らしていた家で待っていて下さいました。

大好きだったおじいちゃんの遺影も飾ってありました。

もう骨になってしまったコビちゃんが、南相馬に着くと同時にキョロキョロと辺りを見回し、

それはそれは喜んで、小高の空気に溶けこむように、消えていったような気がしました。

おじいちゃんの元に戻っていったのです。

お母さんは、コビちゃんの縄張りだった近所を案内して下さいました。

安田文具店。

家から少しだけ離れた道沿いにありました。

この安田文具店の前で、アニマルエイドさんに2011年8月に保護されたため、

コビちゃんは「安田君」という名前で呼ばれていたのですが、

1年前の春に飼い主さんがみつかって、本来の名前を取り戻したのでした。

この安田文具店にやってきて、敬子さんとおかめは驚きました。

2011年4月9日と10日に、まだ警戒区域でなかった頃にレスキューにきたとき、

ちょうどこのあたりに集中して捕獲器をしかけたり給餌をしたりしたのです。

敬子さんのあげたご飯をコビちゃんは食べていてくれたのかもしれません。

コビちゃんと縁の深かった敬子さん。

安田文具店を見て、感慨深そうです。

南相馬のねこおばさんこと吉田美恵子さんも、コビちゃんの飼い主さんにご紹介できてよかったです。

猫仲間が増えれば助け合えますから。

飼い主さんのお宅の隣家は、ねこおばさんといっしょに活動しているボランティアのOさんの家でした。

ここには3月9日にも捕獲器をしかけに来ました。

コビちゃんのエリアには、まったく知らずに私たちは何度も来ていたのでした。

コビちゃんを無事にお返しできて、よかったです。

さびしいですが、コビちゃんはほっとして、おじいちゃんも喜ばれていることでしょう。

お母さんも、ドラメイさんの描いたコビそっくりのイラストを見て、とても嬉しそうでした。

コビちゃん、あなたの家に帰ってきたよ。やっと。

あなたの庭。

あなたの椅子。

あなたの町。

あなたのお母さん。

コビちゃんよ、さようなら。

さあ、私たちは南相馬のねこおばさんのサポートで、今生きている猫たちのお世話があります。

ニャンダーガードさんの給餌箱にフードを足したり。

新鮮な水を汲んだり。

ゴミを片付けたり。

道ばたで亡くなっているタヌキやハクビシンの亡骸を埋めたり。

いのちを繋いでいる猫さんたち、みんながんばれ！

電車の通らない常磐線。

小高駅。

だんだんと片付けられていく町。

崩れた家屋のあった場所は、一部更地になっていました。

「これからの季節は水が大事になってくるわね」

給餌器はからっぽ。

急いでフードを詰めていると、待ち遠しそうに近くまで寄ってきたグレー白の猫がいました。

私たちが立ち去るのを今か今かと待っている。

ごめんね。

今日は肌寒い。

でも潮風が心地よい海辺の高台。

ごうと唸る海。日射しがきつい。

わき水がこんこんと流れ出しているから、ここなら猫も生きていけるだろう。

お墓に守られて。

敬子さんのプラドには、フードと水と洗面器。

また行かなくちゃ、待っているのだから！